日本経済新聞

2020年01月30日

離婚後にひとり親家庭が貧困に陥らないよう、不払い養育費の受け取りを自治体が後押しする動きが広がってきた。東京都豊島区や港区は4月以降、民間保証会社の仕組みを活用した支援制度を始める。ひとり親家庭の貧困率は5割を超えており、養育費不払いはその一因とされている。

豊島区や港区が想定しているのは、保証会社が養育費の不払い分を立て替え、離婚相手から回収する仕組みだ。公正証書など法的効力がある文書で元配偶者と養育費を取り決めた家庭を対象とする。区はひとり親が契約時に支払う保証料を補助し、サービス利用を促す。

豊島区は2020年度から、15世帯に対して保証料を5万円まで補助する方針。離婚前後に文書を残せるよう証書の作成手数料なども支援する。港区は弁護士による離婚相談の強化も検討する。


東京新聞

2020年01月12日

ひとり親家庭が養育費の不払いで困窮する事例が問題化していることを受け、東京都は、元配偶者から養育費の受け取りを支援する制度を導入する。都道府県では大阪府が新年度から開始予定で、都も同時期に始める見込み。新年度予算案に関連予算700万円を計上する方針。

 ひとり親世帯が民間保証会社と契約し、相手からの養育費の支払いが滞った場合、保証会社が養育費を立て替えた上で、相手側に債権回収をする民間の仕組みを活用。区市町村に保証会社と連携するよう促し、窓口を請け負う自治体を通じて、都は、契約したひとり親世帯が保証会社に支払う保証料の半額を補助する。

 保証料は養育費の一カ月分で、当面、三自治体で計90世帯程度への補助枠を設ける。

 都によると、ひとり親世帯の養育費の受給率は約二割にとどまり、ひとり親世帯の貧困率が五割を超える要因となっている。都は保証料補助のほか、養育費の取り決め率や支払率を向上させるための普及啓発も支援する。保証料への補助は、市町村では兵庫県明石市や大阪市などが行っている。都内では例がない。都の制度は、都のほかに区市町村が補助するケースも想定されている。


時事ドットコムニュース

2019年11月12日

最高裁は12日、離婚裁判などで広く利用されている養育費の算定表について、社会情勢の変化を反映させた改定版を12月23日に公表すると発表した。改定版では、税制や教育費、生活保護費の基礎となる「最低生活費」の変化が反映される見通し。

 

現行の算定表は、有志の裁判官らが2003年4月に法律雑誌に公表。子どもの年齢や人数、支払う側と受け取る側の年収に応じた額を提示しているが、「低額でシングルマザーの貧困を招いている」などの批判も上がっていた。

最高裁は昨年7月に見直しに着手。実務に与える影響の大きさを考慮し、事前に公表日を発表したという。


中日新聞

2019年10月3日

湖南市、不払い養育費立て替え助成 県内初の制度導入  湖南市は二日、生活に困窮するひとり親家庭への支援策として、離婚相手からの不払い養育費を立て替える民間保証会社への保証料を助成する制度を、県内で初めて創設したと発表した。

養育費に関する取り決めをしていない家庭には、公正証書などの作成にかかる諸費用を助成する。

市によると八月現在、児童扶養手当を受給しているひとり親は四百三十人。

うち離婚相手と養育費の取り決めをしているのは百四十四人にとどまる。

このうち支払いが滞っているのは三十七人で、二十人が書面契約を交わし、十七人は口頭による約束という。

制度では、書面契約を交わした人を対象に、五万円を上限に初年度の保証料を助成。

保証会社が養育費を立て替え、本人に代わって債権として離婚相手から督促回収する。

口頭で約束した人には三万円を上限に、公正証書などの作成費用を補助する。

周知期間を見越して年度内の利用は各二人程度と見込み、計十六万円を盛り込んだ一般会計補正予算案を、市議会九月定例会に提出。

一日の最終日に可決された。

市子ども政策課は「養育費確保の手だてを知ってもらいたい。全国に波及すれば」としている。

同趣旨の制度は、兵庫県明石市が昨年十一月にモデル事業として導入。

大阪市も本年度から実施している。

明石市は、養育費の支払いに応じない離婚相手の氏名を公表する条例の来年度制定を目指しているが、湖南市の谷畑英吾市長は「明石市の状況をよく調査してから検討する」と述べるにとどめた。


産経新聞-産経WEST

2018年12月26日

大阪市は、子供の養育費について離婚相手と取り決めをしたひとり親家庭に対し、養育費の受け取りを保証する支援制度を来年度から始める方針を決めた。子供の貧困対策の一環で、本格導入は全国の自治体で初とみられる。

市内のひとり親家庭の養育費の受け取り率は、全国平均と比べて低いのが実情。未払いの養育費を回収する保証会社との契約を行政がサポートすることで、確実に受け取れる家庭を増やす狙いだ。

市によると、養育費の条件について双方が合意し、法的効力の強い公正証書などを作成して取り決めをした市民が対象。民間の保証会社と契約をした際に市が保証料(上限5万円)を補助する。

支払いが滞った場合、保証会社が養育費を肩代わりして契約者に支払い、相手側への債権回収を行う。第三者が介することで養育費の確実な受け取りや不払いの抑止が期待できるといい、同様の取り組みは兵庫県明石市が11月からモデル事業として実施している。

厚生労働省の調査(平成28年度)によると、母子家庭で養育費を受けていると回答した人は全国で24・3%だが、大阪市の調査(26年度)では9・8%にとどまる。

取り決めをしても未払いとなるケースが多いとみられ、吉村洋文市長は25日に開かれた子供貧困対策の会議で、「養育費は親の義務。社会全体で『逃げ得は許さない』という認識を広めていきたい」と強調した。

市は養育費確保の総合支援策として約2500万円を来年度予算案に計上する予定。

保証支援制度の新設のほか、養育費の取り決め自体をしていないひとり親家庭が全国と比べて多い傾向にあることから、公正証書の作成補助や弁護士による無料相談などの体制整備を進めるとしている。


朝日新聞

2018年9月28日

兵庫県明石市は、離婚した人らが養育費を確実に受け取れるよう市が保証料を負担する、全国初の制度を始める。

18人分の保証料にあたる90万円を今年度予算に盛り込んでおり、11月から1年間、モデル事業として実施後、本格導入を検討する。

「教育費や食費を十分に確保できない事態を解決し、子どもの健全な成長につなげたい」という。

対象は、調停や公正証書で養育費を受け取る取り決めを交わしている市民。

利用の申し込みがあれば、市は5万円を上限に、1カ月分の養育費と同額の保証料を業務委託先の民間総合保証会社に払う。

保証会社は養育費が滞った場合、立て替えて払うと同時に、支払い義務がある側に督促し、回収する。

養育費の不払いは、特に母子世帯の生活を苦しくする一因だ。

厚生労働省の2016年度の調査によれば、母子世帯の年間平均就労収入は200万円。

離別した相手から養育費を「受けている」世帯は24・3%にとどまり、「受けたことがある」が15・5%、「受けたことがない」が56%だった。

明石市は「子どもを社会全体で守る」として調停申立書の作成を手伝うなど、養育費の取り決めも支援している。